2020年 あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
さて、街を歩いているとそこかしこから宮城道雄の『春の海』が聞こえてくる。
テレビからも同様。正月だなあと感じさせる。
『春の海』って何? どの曲?
これです、これ。
日本でのお正月を経験している人なら誰もが聞いたことあると言っても過言では無い。
…が、実はこの曲、近代(それも昭和初期!)に作曲された曲なのである。つまり伝統的な(近世以前の)邦楽曲というわけでは無いのだ。
そして、邦楽でありながらソナタ形式という西洋の形式が用いられている。
この記事では、そんな『春の海』について少しだけ解説をしてみようと思う。
宮城道雄『春の海』概要
子細は上記リンクを参照のこと。
(ただし、今更だがwikipediaは誰でもが編集できることがメリットでありデメリットでもある。つまりいたずら改変もしようと思えば可能という側面がある。宮城道雄および春の海についての歴史学的詳細を知りたい場合は、wikipedia最後に乗っている脚注や参考文献をご覧になるのが良いかと思う。)
大きな流れとしての一般論を言うと、明治の開国により日本に西洋文化がどっと入ってきたわけだが、音楽もそのうちの一つであった。
当時のヨーロッパ音楽はロマン派~近代に向かう頃。有名どころでいうと、滝廉太郎から山田耕筰へと続いていく時代である。明治の音楽家や作曲家達は西洋音楽を貪欲に吸収し、なおかつ日本的なもの(日本音階だとか、日本語だとか、邦楽器だとか)を多分に含む音楽を産み出していった。
宮城道雄もそういう「大きな流れ」に比較的含まれているように思うが、滝廉太郎や山田耕筰とは逆に邦楽・邦楽器の出身であり、邦楽出の立ち位置から西洋音楽を吸収して取り入れるという流れでをくんだ。
…できるだけ正確に書こうと心がけるとのらりくらりとした文章になりますね…。
さて、次の段では『春の海』がソナタ形式であることに触れたいと思う。
ソナタ形式とは
ざっとまとめると、
- 主題提示部(提示部と略されることもある)
- 展開部
- 主題再現部(こちらも単に再現部と言われることもある)
の、3部構成的な形式なのであるが、これだけだと3部形式となってしまう。
ソナタ形式の3部形式との最大の違いと言えば、
提示部および再現部に「第1主題(T1とも呼ばれる)」と「第2主題(T2とも呼ばれる)」が含まれる
ことであろう。下図参照。
言われてみれば、モーツァルトやベートーヴェンのソナチネ・ソナタって、こんな感じの形の曲だよな…! と思い出していただけるとありがたい。
次回は楽曲分析に入ります!
宮城道雄楽曲は、作者死後50年経過により著作権フリー。
ただし版面権等のため、全て自分で浄書し直そうと思います。
ほんとはIMSLPから取ってこようと思ったんだけど、Flute & Pianoしか楽譜が無いため、楽譜取り寄せ→浄書し直しのコンボ。
では、次回を待て!
参考文献・音源等
上記リンク以外の参考文献等は
楽式論新版 [ 石桁真礼生 ]
春の海~宮城道雄作品集~[CD] / 砂崎知子/藤原道山 他
おわりに
というわけで、お付き合いありがとうございました。
それでは、本年も弊サイト・
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